実に、半年ぶりの投稿です。
今、ブラジルのアマゾン熱帯雨林では天然資源が搾取され、先住民たちが弾圧され、それが大きな気候変動の要因となって私たちの上に降り注いでいます。
VIDEO
このブログの源となったチャールズ・アイゼンシュタインが、この問題に向かい合う時に私たちが陥りそうな「罠」について語った動画が先ごろ公開されました。
いつもは字幕付きでご紹介するのですが、今回はちょっと急いだ方がいいかと思いましたので、訳文(粗々です。ご容赦ください)を全文掲載いたします。
一緒に、新しい物語へと踏み出しましょう!
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多くの人々と同様、私も今年の 8 月にアマゾンで起こっていることに対して、深く心動かされています。大豆や畜産、サトウキビなどの大量生産のためにアマゾンの森林破壊が破壊され、土地を斬り開くために意図的に火がつけられています。そのペースは昨年を倍以上上回るもので、その土地を守ろうとする先住民たちは弾圧に苦しんでいる。世界中で多くの人が不安や絶望に襲われながらその状況を見つめ、怒りを SNS 等であらわにしています。しかしそこには、落とし穴のようなものがあると私は感じています。
怒ることが悪いと言っているのではありません。けれど、自分自身の内側を見たときに、自分のエネルギーが怒りの方向にシフトすることが、状況を好転させるために行動を起こしたり、力や能力を発揮する上での遠回りを強いるように感じるのです。ヘイトが求める解決策は往々にして誰かを戦うべき敵とみなし、戦闘状態に入ることを意味するからです。そして、ボルソナロ大統領であれ、非合法な森林伐採者であれ、農場経営者であれ、あるいはそれらの産物を購入する消費者であれ、そう言った人々との戦いに勝てばそれで問題は解決するという図式で終わります。
けれど本当の問題は、世界の問題に向かい合うことから顔を背け、痛みをただ回避しようとする私の誠実さの問題だったり、問題を引き起こしている世界の状況だったりします。例えば、ボルソナロ大統領を生み出した状況、土地の乱開発を許すような構造、世界的な経済状況の中で不平等な債務関係が作り出され、その負債を返済するために自然資源の切り売りに頼らなければならない貧国の経済状況などです。あるいは、地球を生きたもの、精神の宿るもの、聖なるものと見ずに、単なる自然資源の集合体としか見ないような、心理的・思想的な風潮もあるでしょう。
そう言ったものが変わらなければ、ボルソナロ氏が失脚したとしても、第二のボルソナロが出現したり、現在のシステムから利益を得ている人々がなんとかしてお金を生み出すために地球を物として扱おうとする構造を維持しようとするでしょう。
ですから、そのような水面下の状況を知れば知るほど、表面的な戦いに加勢することには希望がないと思うのです。それは、軍事・工業・農業・医薬・ NGO ・教育・刑務所などをすべて巻き込む巨大な複合体との戦い・・・つまり、この社会構造全体を意味するからです。それと私個人が戦っても勝ち目がないことは明らかです。彼らは力を持ち、兵器をもち、資金を持っているからです。
それらに戦いを挑まずに問題に向かい合うための私のプランは、現在の世界を形作っている状況や条件、構造を変えることです。これは、全ての人が参加できるやり方です。なぜなら、社会構造全体が問題であるなら、それを癒し改善するためのすべての小さな行動が、究極的にはアマゾン熱帯雨林の再生にも繋がるからです。
私たちの中には、実際にアマゾンの状況に直接的に関われる人もいるでしょう。しかし、アメリカやドイツやイギリス、インドなどに住んでいて直接的にアマゾンの違法伐採に行動を起こせない人にも、より深いところで(より良いではなく)変化を起こすことに貢献ができるのです。例えば、意識の変容や、環境的社会的な癒しをもたらすために行動するとか。
それらはすべて、この地球を癒すというプロジェクトの一部になるのです。あなたがいる場所であなたが行う行為が地球上の生命をケアすることにつながり、この惑星を健やかにするのです。想像してみてください。あなたが病床に臥せっていて、苦しくて、長くこの状態を続けるよりも終わりにしたいと思うような時に、それでも生きる力をくれるものはなんでしょうか?それは、あなたを愛する人、あなたを必要としている人、あなたに価値を見出している人、そしてあなたがコミュニティに属していれば、その人々なのではないでしょうか?
今、地球は病床に臥せっています。そして、地球が生命にあふれた星であり続けることを望んで行うあなたの行動すべて、生きとし生けるものたちのためにあなたがするすべて、あなたが愛する場所や人々、コミュニティにする行動のすべて・・・それらはガイアに対する祈りであり、地球を愛し、地球を孤独にせず、地球を私たちが必要としていることのメッセージとなるのです。
地球の反対側で起こるこのような行動が、ブラジルで実際にどのような助けになるのか?私にも確かなことは言えませんが、私はシェルドレイクの仮説を信じています。この説によれば、一つの場所で起こった変化が変化のための場を形成し、同じような変化が他の場所でも起こりうるとするものです。私がここで語っている深いレベルでの変化とは、心の変化であり、認知の変化を指します。それは、私たちの行動や価値観や重要性といったものを方向付ける、この世界で語られている物語の変化です。もし、私たちがそれらに対する変化の場を形成することができれば・・・
何百万もの人々の心が変わったとしたら、ブラジルでどんなことが起こるか想像してみてください。
ですから、私たちは世界レベルでの心の変化、世界レベルでの物語を変える活動に参加するのです。これが、私のプランです。
ブラジルの状況をどのように変えられるのか?具体的なことは私はわかりません。けれど、私はそのプロセスを信頼することを学びました。そのプロセスとは、原因と結果の法則であり、形態形成場仮説であり、直感に従うことです。私たちに生来備わっている、「すべての行動には宇宙的な重要性があり、すべての行動が無駄に終わることはない」ということに対する直感です。
私たちには、そのような考え方に従って生きる準備ができているでしょうか?それは、地球を破壊し、絶望を作り出し、人を地球や他の人々、そして自分自身からさえ分断し、宇宙を私たちにはどうすることもできないような形で自動的に動き続ける無機質な機械のようにみなす世界観や物の見方とは全く違った考え方です。
宇宙がそのように動くものではなかったとしたら、どうでしょうか?すべての存在が互いにつながりあっているとしたら?自分と他者とが親密に長いに結び合わされているとしたら?そして、私たちの内側で起こることと外側で起こることとが神秘的な形でつながっているとしたら?私たちが生命体としての宇宙を形成する部分であるとしたら?もしそのような物語を私たちが生きているとしたら、絶望こそ不合理な考え方になるのではないでしょうか?
だからこそ私は、今の時代が「私たちは何者か?そして世界となどんなところなのか?」に関する新しくて太古から存在する物語へと足を踏み入れる時代なのだと考えているのです。私は決して、そうしたら魔法のように突然アマゾンの森林破壊を終わらせられるような計画を手に入れることができるなどとは考えていません。しかし、物語のシフトによって、私たちは次にとるべきステップが何なのかが見えるようになると思います。次のステップが提示された時に、それがそうであるとわかるようになるのです。なぜなら、「頭」では地点 A から B にどうやって行ったら良いか判断がつかないような時にこそ、「心」が本当に機能するのだから。
皮肉な言い方ですが、私は頭が A から B にどうやって行くことができないか分からないような時になって初めて飛ぶことができる飛行機を待ち望んでいるのです。そのような時にこそ、心は「心の中に確かにある、実現可能なより美しい世界」に向けての次のステップを知覚することができると、私は信じています。
これは、非理性的に聞こえるでしょう。頭は、そこへの到達を妨げるような障壁や立ちはだかる強大な力にばかり着目するのですから。現代社会に生まれ育った私たちは、分離と分断のロジックにどっぷり浸かりきっているのですから、これは無理もないことなのです。私は、頭が役に立たないと言っているのではありません。ただ、頭も相互のつながり、相互存在、そして形態形成場のロジックへと自分を調整する必要があるというだけのことなのです。そうして、頭と心は再び協働のパートナーとしての関係を結び直すことができるのです。
私がお伝えしたいことは、アマゾンで起こっていることに関して私たちの前にぶら下げられた餌に食いつかないでほしいということです。私たちをヘイトと他責、そしてただ単に表面化した症状としての役割を演じている人々という餌に食いつかないで欲しいのです。それに釣り上げられて、絶望という生け簀にとらわれないで欲しいのです。そこには、チェンジ・エージェントとしての私たちの創造的な力をショートさせてしまうような嘘が充満しています。
あなたが知っていることに留まってください。そして、生きとし生けるものを大切にし、癒しをもたらす方向への第一歩がなんであるかを知覚して欲しいのです。あなたの中にある、次の一歩への意思と覚悟を見出して欲しいのです。それは、今この瞬間でさえ見出せるかもしれないのですから。その、繊細とも言える確信の中に、次のステップそれ自身が自らを表した時に、それを踏み出すための気づきと勇気を見いだすことができます。そして、それで十分なのです。それが、あなたの務めです。この惑星には、より広大な知性が働いています。それは、地球の外にあるのではなく、この惑星に編み込まれるようにして存在しています。そしてそれが、自分自身の癒しのために、あなたがいつどの場所にいるべきかを知っているのです。
これは、今ブラジルのアマゾンで起こっていることを迂回するためのスピリチュアルな教えなどではありません。行動をしないことへの言い訳でもありません。むしろ、あなたの取る全ての行動を下支えする原則や方向付けです。それがあなたの中でどのように育って行くかは、その実を見ればわかることでしょう。このような考え方は、あなたをより受身的にしたり、小さなものに感じさせるでしょうか?あなたを機能不全に陥れるでしょうか?それともあなたを奮い立たせ、意志を高めてくれるようなものでしょうか?
この動画をご覧になった人が、確信のうちに一歩を踏み出すこと、そしてその確信が行動へと結びついて行くことを願っています。なぜなら、そんなあなたの行動が、変化のための場を形成して行くのですから。それは、私自身にとっても、行動のためのとても大きな助けになるのです。私だって、絶望や怒りに影響されてしまう者の一人なのですから。でも私は、それが本当の意味で助けにならないことを理解しています。
見てくださって、本当にありがとう。
粗訳 チャールズ・アイゼンシュタイン 「アマゾン熱帯雨林の大火災 ーその思考の罠にとらわれないために」 Amazon Rainforest Fires - Avoid This Trap by Charles Eisenstein
https://youtu.be/2mNboLb2Suc